デザイナー:L’Atelier
プレイ人数:2~ 8人
プレイ時間:45分
対象年齢: 10歳~
罠と裏切り、正体隠匿の連想ゲーム
魔法のアイテムの溢れる放棄された図書館。 貴重な魔法の書(グリモワール)を手にアイテムを持ち帰る。
図書館は秘宝を持ち出させないよう自らの構造を変えプレイヤー達(魔法使い)を逃がさないようにする。
プレイヤーの一人はグリモワールとなりページに出口への経路を浮かび上がらせ脱出を手助けする。魔法使い達は正しくページを読み取り図書館からの脱出を目指す。
ただし魔法使いのうちの一人は図書館に心を捕らわれ魔法使い達の結束を乱し脱出の妨害を計る。
概要
ディクシット、ミステリウムのLibellud(リベリュー)の新作。
ディクシット以来得意とする、絵のイメージを使って情報伝達をさせるゲーム。
コアデザインは個人ではなくチームL’ATELIER。
わかるでしょ? いや、わかんねーよ! 自分には伝わったよ!ってわいわいやる。
それだけで楽しいのにバッグドローでのランダム妨害、情報攪乱に正体隠匿とわかりやすく悩ましい要素を付け足した。
おおまかなプレイ
本なので会話することができないグリモワール役と各キャラクター、ランダムにカードを配布して心を捕らわれた裏切り者を一人決めてゲームを開始。
魔法使い達の結束力を表すトークンを配置し、そのトークンが尽きるまでに出口にたどり着けば魔法使い達の勝利。
逆に結束力を尽きさせれば裏切り者の勝利となる。
グリモワール役はランダムに出口となるカードを引いて自分だけが確認、さらにヒントとなるカード2枚を引いて公開、その2枚からヒントになりそうなポイント2カ所をマーカーを使って示す。 もちろんこの時一切の口頭による伝達は禁止。
裏切り者以外全員が目をつぶり、裏切り者は魔道書の全く関係が無いページからポイントされた2点から誤解を受けそうなダミーカードを2枚まで選び、グリモワールは正解の出口、選ばれたダミー、さらに足りない分をランダムに引いてあわせて6枚公開する。
魔法使い達はこの6枚から正解を選ぶのだが、裏切り者は当然誤解される方向に議論を誘導する。
制限時間内におのおの出口と思われるカードに自分のコマを置き、正解者がいれば次の部屋に、不正解者の分だけ結束トークンが失われる。
こうして結束トークンが尽きる前に6回正解する事/させない事が目的。
とにかく美麗なコンポーネント
ボード、カードのアートワークはもとより、雰囲気を盛り上げる大きな本型のカードホルダーがかっこいい。詳細は省くがこの本は時間制限による難易度変化のマーカーも兼ねている。
筆者が一番関心したのはヒントカードを公開する開いた本型のボード。
雰囲気を盛り上げるデザインは当然のようにされおり、一歩進んだユーザビリティーがすごい。
メタルシートを挟み込んだ2層のボードになっていて、円形の窪みがありカードがずれないようになっている。
さらにすごいのはここから。ヒントをポイントするマーカーに磁石が仕込まれていてヒントをボードごと回し見してもポイントした場所がずれないようになっている。しかもカードを回転させてもポイントは変わらないままカードの回転にマーカーが追従するよう磁力が調整されている! 地味ながらものすごく気を使って遊びやすくしているのにとても関心した。
特徴的なシステム
コンポーネントが良く出来ているのは説明したのでシステムについて。
さほど珍しくは無いがきちんとゲームを盛り上げ、ランダム性を担保するために魔法使い達にマイナスのある罠とよばれる妨害要素をバッグドローにより選択するシステムがある。
そして特徴的な要素の一つは裏切り者が答えを知らないまま存在すると言う事と話合いの時間に制限がある事。
裏切り者もいくつかの不正解を知っているだけで正解をしらないのであまり嘘をついたり誘導をする事が出来ない、これはする必要が無いと言い換える事が出来、嘘の苦手な人もプレイできる、プレイしやすいと言う事に繋がる。
さらに時間制限により罠がどんどん増えていくため、根掘り葉掘り凶弾しながら裏切り者を探し出すような余裕は無いので正体隠匿にありがちなギスギス感が生まれにくい。
この2点から正体隠匿の楽しさは入れ込みつつ、ギスギスしやすい要素を徹底的に薄めようとしているのがわかる。 セオリーも生まれにくく正体隠匿が苦手と言う人も楽しめるようにという気遣いで、実際うまく機能しているように思う。
難点
かなりべた褒めしたのでマイナス点も。
1ゲームに使うカードの量が非常に多いため、それなりの枚数のカードがあるにもかかわらず数ゲームやると見覚えのあるカードが出てくる。
この系統のゲームの宿命ではあると思うが欠点は欠点。
一応解決策として拡張セットで補う事になるであるのは箱の空きスペースからも見て取れる。
あとはプレイ人数。 人数を変え数回遊んでみたが4人になると相当難易度が下がる。 適正人数は5人以上、できれば6人以上と言って差し支え無いと思う。
どんな人におすすめか
根本的な部分はパーティーゲーム。 常に重い1手1手をうんうんうなりながら他プレイヤーを叩きのめすコアゲーマー諸兄にはあまり向かないのではないかと思う。
筆者もそれなりにゲーマーズゲームが好きではあるが、わいわい遊ぶのも好きな雑食なので楽しめている部分がある。
それなりにルールは整備されているが、別の言い方をすればプレイ手順等覚えないとプレイできない事が少々ある。
従って大喜利やルールがあまり無い完全なパーティーゲームを数本遊び、少し複雑なゲームも試してみたいと言う方にベストマッチなのかと思う。
ミステリウムより煩雑な処理は少なく、かといってルールを覚えればシステムが遊ばせてくれる部分が大きいのでボードゲームの経験が多くないプレイヤーでも十分に楽しめる。
短時間で議論を誘導する裏切り者のプレイの楽しさ、ゲームマスターとも言えるグリモワールのままならなさと、ゲーマーも楽しめる要素があるのでパーティーゲームが嫌いでなければコアなお兄様お姉様方にもすすめられる。
できるだけ感覚そのままより言語化、体系化して伝えるレビューを心がけてます。
オブスクリオ / OBSCURIO
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