プレイ時間:約45分
対象年齢:8歳~
デザイナー:Asger Harding Granerud, Daniel Skjold Pedersen
Flamme Rouge、Copenhagen,2018 KDJノミネートのPanic MansionなどのAsger Harding、もう一人のデザイナー、Daniel SkjoldとはFlamme Rouge以外ではほぼコンビを組んでおり、Bloom Townのリリースにあたり共同出資の会社Sidekick gamesを立ち上げている。
大人やゲーマーもきっちりあそべるファミリーゲームが得意なコンビが、これまた豪華なコンポーネントと幅広いターゲットに向けたゲームを沢山出しているDays of Wonderから新作を出したという事で駄目ダイスのメンバーやいつも遊んでくれる人たちと何度かプレイしてみた。
どんなゲーム?
プレイヤーは海底探査船団の船長となり、クセのあるクルーを雇って力を借りながら海底遺跡からお宝を引き上げる。
システムとしてはデッキ構築をとバッグドローを中心にチキンレースやささやかな陣取りを展開する。
2000年前後の映画タイタニックの大ヒットと残存品回収や水中ドローンによる撮影を体験してきた大きなお友達はさらに胸が躍るのでは?
ざっくりシステム解説
他にもしっかりと解説してくれる人がいると思うので僕はざっくりと。
プレイヤーは操舵や探索を手助けするクルーの書かれたカードを雇う必要がある。
このカードは他のクルーとのコネクションを持つ(契約金のように使える)人や、探索船を移動させられる人、最初は価値の判断できない海底の遺物の鑑定ができる人、同じように古代の物品の鑑定ができる人などがいる。
クルーはカードで表されていて、デッキ構築をして使って行く。
複数の役割を担う人もいるのだがそのうち一つの役割を果たすと一度済手札にはいるのでどの役目で使って行くかが非常に重要になる。
ちょっと変わっているのがカードの補充。デッキ構築系のゲームでは手札を使い切ったら捨て札にリシャッフルをかけて全て手札に戻すと言うのが多いと思うのだが、このゲームは任意のタイミングでリシャッフルをかけて3枚だけ補充できる。
いわゆる圧縮にあたるアクションも無いので余計なクルーと契約するとどんどんと使いたいクルーが引けなくなるのだ。
探索に関してはクアックサルバーでおなじみとなったチキンレース系バッグドロー。
トラブルにあたるチップ(宝石)を何度か引いてしまったら途中終了となる。
トラブルはいくつかあるのだが、カードの中には特定のトラブルを1度だけ無効にできるものがある、これらによってバッグドローの運への依存率のコントロールができるようになっている。
バッグドロー部分にはさらにひとひねりあって、隣の海域に居れば相乗りといって探索の成果を共有(分け合うのでは無く全く同じ利益を得られる)できる。
ただし辞め時はいいだしっぺにあたるリーダーのみがコントロール可能なので、ここでトラブルの対応カードがお互い何枚手札の中にあるのかの読み合いが発生する。
デッキの無駄の無さがそのままトラブル対応カードの補充の軽さに繋がってくるのがまた面白い。
リーダーに相乗りしていく遊び口はダイスからバッグドローになっているものの、名作Cloud9やセレスティアに非常に近い。
元のゲームが大変楽しいので当然のように引くたびに大騒ぎできる楽しさは継承している。
バッグドローな点もなんとなくダイスより自力の引きがあるような気分になるのも筆者はとても好みだ。
バッグの中身の構成内容は全プレイヤーで共通なのだが、カードによってはバッグに追加で宝石を放りこめるのがまた面白い。
自分の有利に運ぶよう、デッキだけでなくバッグもビルドできるのだ。
バッグからの引きやデッキ構築に目を取られがちだが、何度かプレイした感じこのバッグビルド部分はかなり勝ち負けに影響を与えていたように思う。
前後するがこの時の船のポジションニングによって相乗りさせないような探索を行なえるか、移動力の消費なしに1歩移動した上に相乗りに参加できるかがきまるので、ゆるい陣取り要素にもなっている。
最後にゲームシステムに影響をあたえる探検日誌。
いわゆるイベントカードなのだが特定の場所を探索するさいにバッグから2個ずつ引くように変更されたり、ある色の宝石の得点が倍になったりとめくられたカードにより毎回ゲームに変化がつく。
この要素でリプレイ性も十分。
結局ざっくりしてなくて長い。
Days of Wonderらしい豪華なコンポーネント
この出版社のゲームはいつもコンポーネントが豪華。ご多分にもれずとてもコンポーネントがよい。
豪華なコンポーネントのおかげで製造上ラインの再稼働がさせにくいのか、チケットトゥライドシリーズ以外はなかなか再販がかかりにくいメーカーでもある。
まずは他人から得点を隠すためだけ、とも言える宝箱。握るだけだったりいいとこスクリーンにするだけのゲームが多く、それで実用十分なのだがプラスチック製のしっかりとした宝箱がプレイヤー人数分の5つ付属している。
美麗なアートワークや実用上必要あるかわからない潜水鐘まで、とにかくコンポーネントに力が入っている。 これだけ徹底しているとお子様には本当に喜んで貰えるんじゃ無いかと思う。
まとめ
色々なゲームの楽しい要素の骨側のおいしいところを持ってきていている。
それぞれの要素は極端な複雑さを持たすところまで深掘りせず、おじさんたちが下を向いてゴルゴサーティーンのように寡黙にプレイするような感じにはならないよう、直感でもある程度遊べて考える意味もちゃんと残してある、と言った程度に調整されている。
これだけの要素ときちんとボードのあるゲームをやった満足感があって5人で1時間程度で終わる手軽さは本当に貴重。
コンポーネントの良さや冒険活劇がテーマなあたり、遊びやすさもに気を遣われてる点ももありファミリーゲームとして調整されているのでやはりそういったゲームを求めてる方に。
見た目がとてもしっかりしているのでガッチガッチのゲーマーズゲームの印象もあるかと思うがそのようなゲームを期待すると肩透かしがあるかと思う。
全員でバッグから引いた宝石を見守る瞬間や、トラブルの対応カードを一人だけもっていた時の盛り上がりはあるようでなかなか無いので大人もちゃんとゲームとして遊べるパーティーゲーム、ファミリーゲームを求めてる方には是非お勧めしたい。
コンポーネントのところで少しふれたが、再販が活発にかかる出版社ではないので気になった方は手に入るうちに入手されたほうが良いかと思う。
ディープブルー / DeepBlue