概要
この記事は「やったことないけど、どんな雰囲気のゲームなのか知りたい」という方向けです。物語のネタバレ部分には触れないようにレビューしていきます。
デザイナー | カナイセイジ |
プレイ時間 | 15分(1ループ当たりの時間で、 全エンド回収するなら2時間以上かかる場合もあります) |
プレイ人数 | 2人 |
対象年齢 | 14才以上 |
「ラブレター」で有名なカナイセイジ氏作の、協力型2人用カードゲームです。特徴としては同じ物語を何度もやり直して良いエンディングを目指す、いわゆる「ループもの」「マルチエンディング」の要素があります。
今ではアニメやゲームでありふれたループものやマルチエンディングですが、これを友達とテーブル上でロールプレイすることができます。全エンド回収を目指そう!
ゲーム内容
———あの日、文絵が死んだ。
私たちは死の定めを背負ったヒロインと、彼女を救おうとする幼馴染として、過去に立ち戻りその宿命を回避するべく行動します。
カギを握るのは「周りの知人たち」「いくつかの道具」そして自分たちが繰り返して知った「お互いの未来」……
悲劇を回避するためにはカードで示された自身の行動や、近しい人々の助けを駆使してお互いの状況を操作しなければなりませんが、彼らを取り巻く人々にも様々な思惑があって……
果たして彼らはお互いが持つ秘められた気持ちを明かし、その絆で悲しい運命を打ち破ることができるか……?
主人公の2人
プレイヤーはこの2人になりきってプレイします。
武雄
どこにでもいるような高校2年生。成績・運動神経・容姿ともに中の下程度でサッカー部所属。レギュラーを出たり入ったり。普段はクラスでもそれほど目立たないが、密かに女子人気が高い。文絵とは幼馴染で、時々ドジを踏む文絵を陰からフォローしている。
文絵
朗らかで社交性があり、クラスでも中心として行動するタイプ。彼女にあこがれを抱くものも多い。小さいころから武雄のことが好きで、彼を追ってサッカー部のマネージャーになった。お互いのちょうどいい距離感を崩したくなくて今まではその思いを心の中に秘めていたが、彼の誕生日に思いを伝えようと決心した。
(出典:ルールブックより)
ゲームの流れ
ゲームで手番中にやることを簡単に説明していきます。
・キャラクターカードはスリーブに入っていて、最初はキャラクターの簡単な説明しか見えないようになっています。
主な注意点は以下の通り。
・引いたカードは引いた順番が分かるように持ち、カードの順番を入れ替えてはならない
・カードの内容は相手に教えてはならない
武雄のプレイヤーからゲームを始め、文絵のプレイヤーと交互に手番を繰り返します。
① カードの使用方法の決定
相手の手札から、一番最初に引いたカードを使用します。カードの使用方法は以下の2つで、使用方法を決めたらカードを受け取って「使用中カード置き場」に置きます。
・カードを表向きで公開し、その効果を使用する(スリーブに入ったカードを裏返して効果を確認する)
・カードの表面を公開せず、裏向きで使用する(主人公シートの共通効果を使用する)
② 効果の使用
受け取ったカードの効果を使用し、表裏自分で指定した状態で手札に置く。カードを裏向きで使用した場合、使用者は表面を確認できない。
※カードを使用する順番は「効果」によって入れ替えられることもある。
③ 手札の補充
カードの使用が終了したら手番終了。この時手札が3枚未満のプレイヤーは、それぞれ山札から3枚になるまでカードを引いて、使用順が最後になる位置に補充する。
なんらかの条件でゲームが終了するまで、お互いの手番を繰り返します。
カードは表向きで使用すると効果が判明していくので、最初は表向きで使用していこう。
感想
いきなりヒロインの気持ちを味わう
初プレイ時、死亡条件も何もわからずルール確認も込みでふわふわとした空気で進めてみる。すると突然武雄役の相方が険しい顔をし始め、文絵役の自分は何もわからずのほほんとしているシチュエーションが出来上がって、
いきなり「これがループもののヒロインの気持ちか……」を味わえて面白かったですw
なぜ相方が険しい顔をしたのかについては、ぜひ実際にプレイして確認してほしいと思います!
単純にハッピーエンドとバッドエンドだけでなく、プレイするとだんだん明らかになってくる様々な登場人物たちの人間関係もエンディングにとてもとても(大事なことなので2回言いました……)影響します。
彼ら彼女らたちの思惑もうまく利用したりかわしつつ、迫ってくる時間と戦い運を勝ち取った時に初めて突入できるハッピーエンド。達成感がすごかったです。手探りから情報を集めて~というループものならではの面白さがありました。
ゲーム性
ループもののゲームとして、推理要素よりも運と巡り合わせの要素が強いです。何度も周回して少しづつ見えてくる人間関係を把握しながら、死亡フラグを避けつつ、良いエンドに誘導するために2人で協力するところが面白いところだと思います。
カードの効果もキャラによってさまざまで、1つの効果で基本の利用方法以外に状況によって応用が効いたりして悩む要素もあります。
武雄側は目の前にそびえ立つ脅威をどう回避するかをひたすら考え、文絵側は武雄側で渡されたカードや使ったスキルのタイミングからうまく意図を読み取っていく感じで……まさに協力!!
1回プレイすると、エンディング回収するまで流れで同じキャラでプレイしたくなっちゃうので、2回目はもう一人のキャラでやると全然違う気分が味わえて楽しいです!
全エンド回収をめざして
1プレイ15分程度。エンディングは9種類。なので全エンディング回収まで2時間半くらいかな?っと思ったらところがどっこい。
時間、伏せ札、憎き一部のカードによって同じエンディングに何度も追いやられてしまう。「どのバッドエンド選ぶ?」という状況によく追い込まれる。全エンドの回収を目指すなら、時間は多めに見積もっておくことをお勧めします。
序盤に悪いカードが出まくってしまった時などにプレイングで回避できない時があって運によって理不尽なこともたまにありました。
とはいえ、それも含めて友達と楽しめる二人カードゲームとして良い作品だと思います。
「文絵のために」は標準シナリオ以外に2つの拡張シナリオ付き、また2019年には「文絵のために2」も発売されています。またイベント限定の拡張が発売されたり、朗読劇が開催とDVDの発売などマルチ展開されている作品です。文絵と武雄たちの世界にどっぷり踏み込んでみませんか?
文絵のために