最古にして最重要なる龍城は今や朽ち果てようとしている。
人々は長く豊かな生活を求めて新しい土地へと移動し始めた。近くに居を構える領主たる我々は人々を受け入れ、太古龍に寵愛される領地を作り上げてゆこう。
果たして太古龍の寵愛を得、長く栄えられる都(=龍城)を誰が作り出せるのだろうか?
デザイナー | Hjalmar Hach, Luca Ricci, Lorenzo Silva |
アーティスト | Cinyee Chiu |
プレイ人数 | 2~4人(BGG ベスト2) |
プレイ時間 | 30~45分 |
対象年齢 | 8歳~ |
デザイナーは2020年ドイツ年間ゲーム大賞ノミネートである「キングスジレンマ」の二人が制作に加わっており、また、アーティストは「四季の森」「ゲスクラブ(新版)」などで可愛いイラストを手掛けているお方。
これはオススメせずにはいられない!
ということで、「ドラゴンキャッスル」日本での名称は「覇王龍城」をレビューしていこう。
伝統ゲームを遊びやすく
中国の伝統ゲームである麻雀からインスパイアを受け作られた作品。
日本では「麻雀ソリティア」「上海」という名称で遊ばれているのが「覇王龍城」に似たゲームとなる。
「上海」は上から見て一致する牌を探すゲームで1人用だが、このアレンジだと複数人と遊べて、さらに探すために隅から隅までチェックするあの凄まじく長い時間を短縮する工夫がされている。
更に、自分の領地を構築できるパズル要素と相まって1手1手が悩ましい展開となる。
私があそびやすく工夫されているなあと思ったのは、まず牌を探す場所を限定させている所。
「一番上の牌を1種類選ぶ」と取る牌を限定させている。そうすることで何処の牌が取れるんだろう?という探す手間を省かせている。
2つ目は「一致する牌がなかった場合その牌を捨て得点にする、もしくは領地の社をゲットする」という、一致した牌が見つからない、見つけられなくても他の方法で補填できる、というところ。延々と探さなくていいのが楽しく遊べる所なのではないかと思う。
準備も簡単で、牌を1~3まで積み上げていくが、ゲームボード上にこのエリアに何個積み上げます~ということが書かれていて良い。さらには人数によってオススメのボードなんかも書かれている。裏表4面しか無いが。そのうち1面はお好きにお作りください…といった風体になっている。
ちなみにBGGではユーザーが作ったボードが何十種類も展開されている。これは遊び尽くせる仕様。すごい。
精霊と龍と
そして何より忘れちゃいけないのが精霊と龍のカード。
めっちゃ可愛い
色んな種類の精霊がいて
色んな種類の龍がいる、龍のカラーリングがめちゃくちゃ可愛いから見て見て見て。と色んな人にオススメしたい。最高だよ。
このアートを手掛けたCinyee Chiu氏は「四季の森」というゲームもアートを手掛けていてそちらも果物と動物がセットで描かれているコンポーネントがめちゃくちゃ可愛い。なので可愛いものボードゲームスキーはこの人をチェックしたほうがいいだろう。
精霊と龍のカードはそれぞれプレイサポート用と新たな得点源用となる。
初めて遊ぶ場合は抜いてやってね、な上級ルールらしいんだけどこれは最初から入れたほうが絶対楽しい。
牌を配置して点数。のみでも計算しやすくていいと思うが、このカードを入れるだけでゲーム展開が変わってくる。得点源が増える龍カードが個性溢れていていい感じだ。
カード入れてみたいけどあんまり複雑なのは…といった人用にカードの左下に提灯が描かれているのでそのカードを使ってみるといいのかもしれない。確かに複雑な精霊や龍もいる。
牌をゲットし領地を満たせ
牌をとったらその牌で領地を形成していく。
個人ボードのマスの中に表向きで好きなように配置する。牌の上にも乗せられるけど裏返っている牌にしか乗せられない。どうやって裏返すかというと、領地を上から見て同じ色の牌が4つ以上くっついたときに裏返る。裏返った牌にまた牌を乗っけて、と高さを追加して…と作り上げていく。
裏返す牌の枚数が多い、高いところに社を建てると得点が高くなる。なのでできるだけ牌は多くしたいし、高いところに社を建てたい!というようなパズル要素がある。
牌は能力があるやつ(龍、季節、風)と無いやつ(人民)があって、能力が無い牌は多く、裏返す枚数が多くしやすいというメリットがある。能力のある牌はここぞというときに活躍するが、牌は少ないので多く裏返す牌としては向かない。しかしカウンティングがしやすいので○枚でなら裏返せるかもという見通しが付きやすいし、何処にあるのか把握しやすい。
どの牌もメリットデメリットがあってどちらを集めたほうがいいというのが無い。自分の領地パズルの目標達成が主。それでも牌の種類の関係で集めている牌がかぶって取り合いが…!が自動的に発生するちょっとしたインタラクションが楽しい。
牌が全て見えているため、誰がどの牌を取るのだろうか?と予測がつくのも面白い。それが読まてて別の手を打たれるのも。
なので、それとなく、こっちの牌なら2個とれるんじゃなぁ~い?的な誘導をし合うのもまた楽しい。得だよ、と言いつつ、私がその牌を速く退けて欲しいだけっていう、ね!
ボードゲーマー話術あるある。
最後の1段になると増えるアクションの「太古龍の召喚」。これを取得し「!マーク」が出てくるとそのラウンドで終了となる。
これは牌を集めて高得点を狙ってる人に対して有効な手だし、勝ってると思ったらこちらを即座にゲットするのも良い。誰かが取りそうだからじゃあ先にとる。などゲーム終了のトリガーを何処で踏むのか、最後の1段になると睨み合いである。龍の召喚カウントダウンは人数分しか出てないので皆がとれば一気に終わり、収束性が良い。
まとめ
- 中国の伝統ゲームである麻雀インスパイア作品
- 同じ牌を見つけて、領地パズルで繁栄させろ
- 精霊と龍のイラストがめちゃくちゃ可愛い
- だらだら何度でも遊べちゃう空気感のあるゲーム
何度もいうけど、精霊と龍が可愛い。
どんな願いでもひとつだけかなえてやろう
遊び方としては名称を知らずにこんな感じのゲームを遊んだことあると思う。そのときに感じたストレスを解消した遊びやすいゲームになっている。
絵が可愛い。牌も可愛い。ボードも可愛い。遊びやすい。パズル楽しい。と最高なゲームなのでキングスジレンマの合間にどうぞ。
覇王龍城 / dragon castle