注目作
さいきんは気を抜くとすぐに我が家の小さな方がうぎゃーと言い出す環境になったため、ボードゲームで遊ぶ時間を捻出するのもなかなか厳しくなってしまったところはあるのだけれど、今回、その合間をぬうようにして、ちょっとだけ遊ぶ機会をつくっていただいた。
わずかな時間でしっかり遊ばせていただけたことに心から感謝したい。そして、なにやら最近の注目作である『ナナトリドリ』が非常に楽しい作品だったので、その感想めいたものも書いておきたい。
ナナトリドリは、なんというか、甘やかしが過ぎる(褒め言葉)ところが、ほんとうに新しくて楽しいカードゲームだった。そこが非常にオモシロポイントだなと思ったし、意外とこういう方向性って新しいと感じた。
甘やかしゲー
このゲームはいわゆる「手札を並び替えてはいけない系」のカードゲームで、カードを出したり引いたりしながらルールにのっとって手札の並び順をきれいにしていく必要があるのだけど、そのルールが、とても優しかった。甘やかしすぎなのでは???と思わせられるくらいだった。
カードを引き取らされるゲームは数あれど、こんなにゆるい感じで選択肢をあたえてくれるゲームはあんまりない。カードを手札に追加する場面で、それを入れるか入れないか、常に「選択」できる。要らないものは「いらん」と捨て札にしてしまえるし、欲しいカードなら(まとめてではあるけど)手札の好きな位置に入れることができる。こういった小さな”制限”が、ボードゲームでは全体の楽しさに地味に響いてくるものだと思っているのだけど、ここが、異様に優しくて、正直びっくりした。こういうゲームで、欲しいものだけが手札に入ってくるって、かなり珍しい体験だった。
好きなカードだけ
細かいルールについては、ほかにもナナトリドリについてのレビューを書いてくださっている方がいるので、そちらをご参照いただければと思うけど、いわゆる、遊びやすいルール、と言われるときの、「これだけのシンプルなルールで、わかりやすくておもしろい」みたいな感じとは異なる、苦しみ要素をとにかく漂白していったような”遊びやすさ”があるな、と思った。
いやあ苦しいね~楽しいね~とか言いながら満面の笑みを浮かべているのがボードゲーマー、という印象ももちろんあるものの、いうなればそれとは真逆の、まったく苦しくない、「好きなのだけ持っていっていいよ~」と言われ続けている感じの、甘やかしの極地みたいなところが 、ナナトリドリの面白さのキモだなと思う。
駆け引き
なんて言いつつ、最終的に、あ、このゲームおもしろい……!ってなったのは、好きなようにカードを回収してもらっていいのでそれで手札を作り上げてくださいよー、と言われると、それはそれでしっかり悩みどころが出てくる、というところだった。
いくら甘やかしがヒドイとか言っていても、結局、まわりのプレイヤーみんなが甘やかされているわけで、なんだかんだ甘えてばかりもいられないというか。
好きなカードばかり手札にいれられるということは、こちらが気軽に出したカードが相手が欲しがっているカードかもしれないということでもあって、つまり、油断すると、「相手か欲しがっているカード」を渡しただけになってしまって、むしろ有効活用されちゃったりもする。
こんな甘やかし感あふれたルールを作っておきながら、それが駆け引きにしっかりつなげてくるの、すごい遊び心地だ、と感心した。
新定番
もちろん、なんだかんだでかなり運も絡んでくるし、あっさり遊べて、いわゆる「だれでも気軽に遊べるゲーム」であるのはまちがいない。ほんとうに新たな定番ゲーの座を狙えるクオリティなんじゃないだろうか。実際、ちょっとこれはいろんなひとと遊んでみたい作品だった。
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