スパイジョブ / Inside Job

レビューKei


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Rating:
5
On 2023年5月12日
Last modified:2023年5月12日

Summary:

デザイナー : Tanner Simmons
イラストレーター : Marek Bláha
プレイ人数 : 2~5人
プレイ時間 : 20~30分
対象年齢 : 10歳~

デザイナーは初出版のTanner Simmons、自費出版でGobbl-ins!という作品をリリースしているようだが詳細は不明。
イラストレーターにはBohnanzaでおなじみのベテラン、Marek Bláhaをつけるあたり、KOSMOSがザ・クルーに続く変則トリックテイクのヒットとシリーズ化を狙って気合を入れてきた事が窺える。
そもそもはデザイナーのTanner Simmons氏がredditでTrick LIttle Deathと言う名称でテストプレイを募集、TTSのWorkshopアイテムやDiscordを使って広くテストプレイを行い調整、開発すると言う現代的デベロップメントを進めてきた作品のリテーマ。
テストプレイには著名なアナログゲームyoutuberも参加していたり成り立ちも面白い。

どんなゲーム?

ゲームとしてはマストフォロー、トランプ有りのトリックテイキングをベースに協力プレイ要素と正体隠匿要素を追加したもの。
ざっくり言ってしまえばこれだけなのだが、圧倒的ボリュームのテストプレイによる調整と膨大に提案されたアイディアをしっかりフィルターしてとても面白いゲームに仕上がっている。

なにがそんなに面白いの?

漠然としたアイディアとしてはいかにもありそう、にも関わらずこのゲームが新しいのは恐らくこの組み合わせは調整があまりにも難しかったからではないかと思う。
1ディール(1ゲーム)と言う短いプレイ時間の中で正体を隠匿して掻き回し勝利する、あるいは裏切者を見破るという体験をさせるのは並大抵の事ではないのではないかと思う。

この点、1トリックごとに協力して達成しなくてはならないミッションがあり(全員偶数のカードをプレイ、等)、かつトリックに勝利したプレイヤーが機密書類を受け取る。この機密書類を一定数裏切者が獲得すると裏切者の勝利となる。
この点によりミッションを成功させても機密書類を裏切者が得る、手札の加減で泣く泣くミッションを達成させないフリをする等裏切者が活動しやすいシステムが構築されている。

さらに猛烈に効いているのがマストフォロールールの中、裏切り者だけはメイフォローで好きなカードをプレイして良い点。

これにより潜んで仲間のように振る舞う事も、正体ちらつかせながら裏切る事も加減をしながら行うことができるようになっている。

また、ミッション達成を目的とする協力プレイヤーも見えているカードからフォローできない事をあやしんだり、積極的にトリックを取る(機密書類を獲る)様子から短期間で裏切者を推測しやすくなっている。

終盤までは確定情報とするには弱い情報ばかりになるのだが、これがまた絶妙に疑心暗鬼を産みだす。
この絶妙な匙加減がこのゲームを面白くさせている大きなポイントなのだと思う。

魅力の整理

ザ・クルー由来のミッションを協力して達成する楽しみ、他プレイヤーの手札を読み供に達成できる道筋を作り出すリードプレイヤーの喜びがまず大きくある。
その道筋のほころびを見つけ、失敗してもおかしくない状況をみつけ意図的に失敗させる裏切者の楽しみ。
これを1トリックごとに味わい、20~30分と言う短い時間に多量に摂取できる点は今までにない体験。

また最終的に目標ミッション数を達成できなくとも、投票で裏切り者を最多投票で見抜けば協力側の勝利となる点も見破る楽しみ、潜む楽しみを大きく盛り上げている。

豊富に用意された特殊能力をもった役職によってリプレイ性まで担保。

弱点は?

とても好みだったので筆者の手近な範囲で結構な人数に遊んでもらったのだが、トリックテイクにあまりなじみが無いプレイヤーは数プレイではトリックテイキングの中でいかにう裏切者として潜むのか、もしくは裏切者を見破るのかまで理解が届かない。

これはベースにあるトリックテイキングのもつ、少し噛まないと味が出てこないという問題なので本当にどうしようもない。
なのでこのゲームの連続プレイをきっかけにトリックテイキングの沼に沈む仲間を増やしてしまおう。

どんな人におすすめしたいか

筆者のように人狼は苦手でありつつ正体隠匿は嫌いでない人。
システムで語り合うので嘘をつかなくてもあそべる点はかなりこういった人に向いているのではないかと思う。

もちろんトリックテイクが好きで変わったシステムのものも遊んでみたい人
そもそも正体隠匿が好きな人には言うまでも無くおすすめできる。

入手に関して

そしてなんとカタンのジーピーゲームズさんから「スパイジョブ」の名称で日本語ルール付でゲームマーケット2023年春に先行販売されるとの事なので、会場にいける人は是非手に入れよう。
どのくらいの数が用意されるかわからないがザ・クルーの時のような争奪戦になる可能性が高いのでおはやめに。

さらにベルラッティの新版も同時販売、会場で試遊して投票するとプレゼントもあるとか。


スパイジョブ Inside Job

5

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